大判例

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札幌高等裁判所 昭和29年(う)93号 判決

原判決が認定した罪となる事実は、被告人は運転免許を受けて平素自動三輪車の運転に従事していたところ、判示の日時場所で偶々免許外の小型四輪トラックを運転していた際、前方注視の義務を怠つて被害者両名に車を激突させた、というのである。しかして、刑法第二百十一条は業務者がその業務の性質上必要とせられる注意義務を怠ることに対し、普通人の注意義務違反よりも重い刑責を課する趣旨であつて、必ずしも業務執行中における過失に限るものではない。当審の証人岡田文雄の供述によると、自動三輪車と小型四輪自動車の運転技術には別段の差異がないことが明らかであり、特に前方注視の義務の如きはその性質両者に差異のないことが明白であるから、被告人が偶々平素運転しない小型四輪トラックを運転した場合でも前方注視の義務を怠つたことは、業務上必要な注意を怠つたことに外ならず、原判決が刑法第二百十一条を適用処罰したのは正当であつて、論旨は理由がない。

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